クリスマスとかデートだとか

ここ2週間ほど、女性からのアプローチが多かった。

 

そしてラインや電話ではお決まりのように、22・23・24日で会わないか?

との提案を受ける。

 

自分が欲望の対象となる感覚を鮮烈に感じた。

彼女たちは【クリスマスのデート相手】や【恋人】として、期待・欲求・欲望を投げかける対象として捉えているのだろう。

 

人の欲望が自分に向けられた時、身体中がベトベトとして自由を奪われるような感覚に陥る。

 

逆を思い浮かべる。

 

僕が彼女たちに声をかけ知り合うことのない二人が出会った時、僕は彼女たちになにを求めていたのだろう?

 

一晩の相手?恋人?自己肯定のための道具?

 

並べてみると、正しいようでしっくりとはこない。

 

暫く自分の気持ちを探っていると、たったひとつの答えに気づいた。

 

わかって欲しいだ。

 

その欲望が彼女たちにまとわりついたのか。

 

された側のことを思うと吐き気がした。

 

電車内でたった今、僕の肩に頭を乗せ眠る中年の女性。

彼女は僕になんの欲望も投げかけてはいない。

ただ自分の睡眠という欲求を満たす過程で、隣に僕の肩があっただけだ。

 

それくらいエゴイスティックな方が案外、サッパリしていて気持ちいいかもしれないなと思い浮かべ、電車の窓から見えるぼんやりとした街灯を見つめている。

 

魅了するってなんだろう

対峙する人に引き込まれることがある。


そんな時は、相手に対して少ならからず畏怖している。


何故、相手の視線が気になるのだろう。


それはきっと相手が、本気で僕を見ようとしているからだ。


たんたんと僕をみることに集中される。

そこに彼女の主観は存在せず、全神経を僕に向けられている気がする。


それはとても居心地の悪い時間ではあるが、贅沢な時間だ。


逆に自分が見たい僕だけを盲目的に見続ける人には心の何処かで軽蔑している自分がいる。


どうせ人を魅了するなら、うすっぺらい言葉を並べるより相手を真剣に見定める視線だけで魅了出来るようになりたい。


交差点とナンパ3

「お待たせ!この人は?」

声をかけられたのと満足そうな表情の彼女。どんな話なんですか?と男性に問いかけると、飲みに誘っていたとバツが悪そうな顔で答えてくれた。

「じゃーせっかくだから5分話してみなよ。それで今夜どっちと飲みにいくか決めたら?」

その会話に若干、男性が戸惑った。

「あっ気にしないでください。邪魔なら少し外すよ」

僕は少し離れたベンチに座った。
正解が結局分からないが、ただ立つすくむと臆病にとられ、強引にいくと前のめりにとられ、ほかの女性に声をかけると軽薄にとられる気がした。

1分も経たずに彼女が隣に座る。

「ずいぶんアッサリしてるんだね」

「君は男を見る目があるらしいし」

なにそれ、と彼女は少し満足気に笑った。


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「ここに何人連れ込んだのー?」

「さー。飲み物は生でいい?あっそれならサングリア美味しいらしいよ」


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「さっき本当にあの人に着いていってたらアナタどうしてたの?」

幼少の頃や家族の話題、仕事や最近の生活について楽しそうに語った彼女が、一呼吸あけて問いかける。

「どうだろねーせっかく仕事
切り上げたし誰かと飲みに行ったかな」

「なにそれー引き留める気なかったの?」

「よくわからないけど、アナタもあの人も良いと思って飲み行くなら仕方ないかなーって。俺が着く前に声をかけたのも何かの縁かもしれないしね」

「そんなもんかなー?なに考えてるか分からないなー」

「どんな形でさえ、、知り合う機会が生まれた訳でしょ?それをなんか、、良いかなって深めるなら素敵かなって。来なかったら仕方ないなって」

交差点で声をかけた時のように彼女は僕を見つめている。

「けど、、だから俺のとこ来るって思ってたけどね。俺とアナタの関係にはあの人関係ない人だから。まー逆も言えるけど」

彼女は曲線的なグラスをほんの少し強く掴み、視線を落とす。

「そーじゃなくて、私のことはどう思ってるの?」

「この店入ってからどんな気分?俺はなんだか楽しいし優しい気持ちになれるよ」

私もだけど。彼女は視線を落としたまま呟いた。

「うん。だからアナタのこともっと知りたいしもう少し一緒にいたい」

「そんな恥ずかしいこと言えるひとー?」

その甘えた声を噛み締めて、ゆっくりと声を出す。
いつもの言葉。


「今夜は一緒に眠ろうよ」

交差点とナンパ2

彼女の仕事終わりの時間に連絡を入れた。

「お疲れ様。今電話出来る??」

彼女から電話がかかってきた。

「お疲れ様です。どうしたんですか?」

「いつ飲みに行くか決めようと思って。ところで今日はどんな一日だった?」

「いつもと変わらないですけど、あっ昼に変な人に声かけられました」

「イケメンに声かけられたの間違いでしょ。まだ○○?じゃー○○に来なよ。チーズが美味いイタリアンバルあるんよ。」

「えーどうしようかな?」

この声は俺の反応を見ているだけだ。
彼女は恐らくそこそこの男性経験があるのだろう。男のからかい方がうまい。

「心配しなくてもちゃんと薄暗くて口説くのにバッチリなバルだから安心して」

「それ余計に不安になるんですけど」

「でも口説くか決めるのはもっと知ってからだけどね」

「そんな事言われて口説かれなかったら私、惨めじゃないですか」

「今から出れる?8時に○○駅に集合ね」

仕事終わりの開放感からかテンポの良い会話が生まれ、笑いも出ている。
どちらかと言えば僕自身も純粋に会話を楽しんでいた。

駅前、約束の時間。
ここで想定外のことが発生。

彼女を見つけた直後、近くにいた男性が声かけ。

一瞬こちらを確認したあと、彼女は男性と話しだした。

完全に試されている。
しかしこのテストを超えない限り、今夜のゲットは無いだろう。

ナンパが終わるまで待つか?
何事も無かったように彼女の前に立ち連れていくか?
近くにいる女性に声をかけるか?

躊躇するな。

交差点とナンパ 1

仕事の移動中、大きな交差点での話。

信号待ちの中、日差しが強く僕は俯いていた。
ふと柔らかい香りがして、顔を上げると隣に女性がいた。
瞬間的に目が合う。

「あつい日、、ですね」

どちらかと言えば自然に漏れた言葉だった。
当然ガンシカ。しかし彼女は僕から視線を逸らしていない。
その視線のおかげで、スイッチが入る。

「失礼しました。暑くてボーッとしてたら自然に声が漏れてました。」

目をしっかりと見つめ、ゆっくりと話した。
彼女の表情は変わらない。

「そんな事ってないですか?」
 
「無いです。」
 
信号が変わる。平行トークスタート。
 
「今から○○方面で打合せで。。アナタはどちらまで?」
 
「会社に戻るんです」

「俺も時間ないからストレートに言うけど、アナタと知り合ってみたい。1分だけそこで話を聞いて」
 
ついてこない気がするが、力強く踏み込んで背を向けながら誘導した。
 
振り返ると彼女がいた。
 
「俺は(地名)で働いてるサラリーマン。たまたま目があって、うまく言えないけど素敵だと思った。どんな人なのか知ってみたいって」
 
彼女は人の目を見つめる癖がある。
自分に自信があるのだろう。
ただその視線は、初めから一貫して攻撃性は無い。
 
「別に絵画とか売りつけたり指輪を買ってくれとか言うつもりは無いんだけど、、、でもまぁいきなり言われたらビックリするよね。悪かったね。けど偶然だけどさ、こーやって話しかけなかったら俺らはきっと知り合うことは無いんだろなって、、」
 
「ナンパですか??」
それでも彼女の目に攻撃性は無い。
 
「そーいえばそーなるのかな?でも俺、お茶とか誘う時間無いしな。そーいうの欲しかった?」
 
「相手によりますね。別にお兄さんが良いとは言ってないですけど」
 
彼女は笑顔になったが、営業スマイルだ。
 
「どんな人ならナンパされてもいいのかな?随分と男を見る目があるみたいだけど」
 
えー と悪戯っぽく笑っている。
 
「それを確かめる為にも一度飲みにいこうよ。そこでナンパされてもいいかどうか判断したら?」
 
「それもうナンパ成功してるじゃないですか」
 
「バレた?」
 
初めて自然な笑いが起きた。
 
「時間作ってくれてありがとう。俺もう行かなくちゃ。飲みにいこうよ。君のこと知りたいんだ本気で。QRコード出して」
 
彼女はハイと言いながらラインの画面を出してきた。
 
「仕事は何時くらいに終わる?じゃーそれくらいに連絡するよ。またね」

 

即に逃げるな

自分への戒めとして記したい。

 
僕には理想がある。
 
理想を探し求め、薄汚れた街を彷徨っているはずだ。
 
“見つからないから”
 “うまくいかないから”
 
妥協をしていないだろうか?
 
“即をすれば本当に自分のプライドは保てていますか?”
 
“その即は自分の理想へ近づいていますか?”
 
わざわざ業を背負いこむような生活は改めたい。

 

ナンパと恋愛と自分

今年に入るまで数年交際した彼女がいた。
交際中はナンパはしておらず、最近は徐々に復帰してしまっている。

正直ナンパは卒業したと思っていた。

数年前は成功する高揚感や受け入れて貰えた安心感が中毒になり、年に数十人という生活を送っていた。

だが自分自身が大人になり、それだけではないことが良く分かるようになってきた。
相手を楽しませて後悔させないのがPUAだと考える人もいるだろう。
しかし正しい判断と過程を踏んだとしても、一部の女性には辛い経験となるのだろう。

相手が自分に求めることを僕は叶えてあげられないことの方が多い。

交際することも結婚も。

あるいは交際も結婚も求めない女性は、短期的な身体の関係を僕に望んだと言える。
それはウィンウィンだと言えばそうなるが、僕自身が消費されてるとも言える。

感情を揺さぶり驚かせ楽しませ、誘惑し身体の関係を結ぶ。

それらはある意味女性に対するサービスだ。

彼女たちは僕自身のことでは無く、目の前でサービスを続ける遊び人としての僕に用事があるだけに過ぎない。
サービスを止めた途端、僕は不要な存在となる。
それは僕にとっては寂しいことだと思える。

そんな愚痴を垂れ流す僕だが、10代を含めてもナンパ以外で知り合った女性と交際した事が2度しかない。
恥ずかしながらナンパ以外で彼女を作る方法が分からない。