思いやりと美しさ

うたた寝をしながら電車に乗っていた。

ふと目を覚ますと、僕の前には老人が立っていた。

罪悪感に駆られぎこちない動きで席を譲る。

「疲れているのにすいません」

老人から見ればまだ子供にも感じられるだろう僕に、敬意を払い対等な存在として言葉をかける行為は美しかった。

僕はこのまま40年を過ごしたら、あの老人のようになれるのだろうか?

丁寧に頭を下げ席に腰掛ける老人は、オレンジの西日に照らされていた。