交差点とナンパ3

「お待たせ!この人は?」

声をかけられたのと満足そうな表情の彼女。どんな話なんですか?と男性に問いかけると、飲みに誘っていたとバツが悪そうな顔で答えてくれた。

「じゃーせっかくだから5分話してみなよ。それで今夜どっちと飲みにいくか決めたら?」

その会話に若干、男性が戸惑った。

「あっ気にしないでください。邪魔なら少し外すよ」

僕は少し離れたベンチに座った。
正解が結局分からないが、ただ立つすくむと臆病にとられ、強引にいくと前のめりにとられ、ほかの女性に声をかけると軽薄にとられる気がした。

1分も経たずに彼女が隣に座る。

「ずいぶんアッサリしてるんだね」

「君は男を見る目があるらしいし」

なにそれ、と彼女は少し満足気に笑った。


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「ここに何人連れ込んだのー?」

「さー。飲み物は生でいい?あっそれならサングリア美味しいらしいよ」


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「さっき本当にあの人に着いていってたらアナタどうしてたの?」

幼少の頃や家族の話題、仕事や最近の生活について楽しそうに語った彼女が、一呼吸あけて問いかける。

「どうだろねーせっかく仕事
切り上げたし誰かと飲みに行ったかな」

「なにそれー引き留める気なかったの?」

「よくわからないけど、アナタもあの人も良いと思って飲み行くなら仕方ないかなーって。俺が着く前に声をかけたのも何かの縁かもしれないしね」

「そんなもんかなー?なに考えてるか分からないなー」

「どんな形でさえ、、知り合う機会が生まれた訳でしょ?それをなんか、、良いかなって深めるなら素敵かなって。来なかったら仕方ないなって」

交差点で声をかけた時のように彼女は僕を見つめている。

「けど、、だから俺のとこ来るって思ってたけどね。俺とアナタの関係にはあの人関係ない人だから。まー逆も言えるけど」

彼女は曲線的なグラスをほんの少し強く掴み、視線を落とす。

「そーじゃなくて、私のことはどう思ってるの?」

「この店入ってからどんな気分?俺はなんだか楽しいし優しい気持ちになれるよ」

私もだけど。彼女は視線を落としたまま呟いた。

「うん。だからアナタのこともっと知りたいしもう少し一緒にいたい」

「そんな恥ずかしいこと言えるひとー?」

その甘えた声を噛み締めて、ゆっくりと声を出す。
いつもの言葉。


「今夜は一緒に眠ろうよ」